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Xで拡散、イスラエル・ハマス戦闘〝フェイク映像〟の正体暴く

10月7日(2023年)、パレスチナの武装組織「ハマス(ハマース)」がイスラエルに対して攻撃を行い、11日時点で双方に2200名を超える犠牲者が出ていると報じられています。

イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突による死者は、これまでに2200人を超えています。イスラエルの国防相は、「あらゆる方法で敵を排除する」と述べ、地上部隊による侵攻も辞さないとしていて懸念が高まっています。


— 引用:NHK

X(旧Twitter)を始めとする各種SNSには、この戦闘に関する現地の画像や映像が投稿されました。しかし一方で、混乱に乗じて大量のフェイク投稿を投稿するアカウントが多数登場しており、検証が非常に困難な状態となっています。

*Category:テクノロジー Technology *Source:NHK ,Ars Technica ,@Shayan86 ,@IntelCrab

X上に氾濫する「フェイク投稿」の正体


SNSの中でも、とくにフェイク投稿が目立っていると指摘されているのがXです。Xは以前まで、アカウントの認証マークである程度の信ぴょう性が確保されていましたが、元CEOのイーロン・マスク氏がすべての有料アカウントの認証マークを配布して以来、投稿の正当性は非常に見分けづらくなっています。

アラバマ州のオープン・ソース・インテリジェンス(OSINT)研究者、ジャスティン・ペデン氏(@IntelCrab)は今回の問題について「ここ(X上)で危機を取材するのはこれまでで一番難しい」と指摘しています。

For many reasons, this is the hardest time I’ve ever had covering a crisis on here. Credible links are now photos. On the ground news outlets struggle to reach audiences without an expensive blue checkmark. Xenophobic goons are boosted by the platform’s CEO. End times, folks.


— 引用:@IntelCrab

訳:様々な理由から、ここで危機を取材するのはこれまでで一番難しい。信頼できるリンクは写真になった。現地の報道機関は、高価な青いチェックマークなしで視聴者にリーチするのに苦労している。外国人嫌悪の悪党たちがプラットフォームのCEOに後押しされている。皆さん、終わりの時です。

このような現状の中、数多くのフェイク投稿のファクト・チェックを行っているのが英メディア「BBC」の検証チームであるシャヤン・サルダリザデ氏(@Shayan86)。以下は同氏が暴いたフェイク投稿の正体の一部です。

以下の2つは「ハマスの過激派がイスラエルに侵入する様子」とされたフェイク投稿です。サルダリザデ氏によれば、これはエジプトで撮影され、9月にTikTokに投稿されたものとのこと。


こちらのフェイク投稿は「イスラエル軍による反撃」「シカゴでの親パレスチナ派の行進」とされていますが、どちらも2021年5月の映像です。


以下は「ハマスがイスラエルに向けて発射したロケット弾」「ハマス過激派の軍事車列がイスラエルのミサイルの標的にされている様子」としたフェイク投稿。実際はどちらもシリアで撮影され、2019年に投稿されたものです。


また、ウクライナ・ロシアの戦闘もフェイク投稿に悪用されています。こちらは「イスラエルがガザに白色火薬弾を投下した」とするフェイク投稿ですが、動画はウクライナで3月に撮影された、ロシアの焼夷弾の映像です。


なお、フェイク投稿の「戦闘映像」の多くに使われているのが、2013年に発売されたゲーム「Arma 3」の映像です。以下の3つの投稿はイスラエル・ハマスの戦闘映像とされていますが、どちらも「Arma 3」の映像を流用したフェイクであることが判明しています。



ペデン氏はこのようなフェイク投稿の増加により「紛争の本物の映像を検証して共有するよりも、何年も前のコンテンツを否定することに時間を費やさなければならなくなった」と指摘。一部の投稿にはXによるコミュニティノートがつけられていますが、一方でほとんどの投稿は放置されたままです。

なお、フェイク投稿を拡散しているとみられるアカウントを確認したところ、ほとんどのアカウントはバンされておらず、認証マークすらつけられたままとなっていました。一部投稿にはコミュニティノートがついているものの、削除には至っていません。この現状に対し、EUはマスク氏に請求な対応を求めたと報じられています。

そんな中、イーロン・マスク氏は「リアルタイムで戦争を追うなら、@WarMonitorsと@sentdefenderがいい」と投稿(現在は削除)し非難を浴びています。テックメディア「Ars Technica」によれば、同氏が上げた両アカウントは、偽情報の拡散者として有名だとのこと。

Xでは現状、正確な情報を得ることは事実上不可能となっています。個人単位でできる対策は限られますが、まずは信頼できるメディアを参照し、事実確認が取れた情報以外の拡散には加担しないことが重要です。

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