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ジョブズの失敗作がAppleを〝最強のブランド〟に変えたワケ

Appleは今、世界を代表するテック企業の1つであり、他にはない高いブランド力を誇ることで有名です。Appleが最初に世界を驚かせたのは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースとマウスを備えた「Macintosh」。この発表はまさに革命的でした。

しかし、MacintoshはApple初の試みではありません。実はMacintoshに大きな影響を与えた別のApple製品が存在します。そのApple製品について、海外YouTubeチャンネル「The Verge」が解説しています。


*Category:テクノロジー Technology *Source:The Verge,wikipedia,Apple

Macintoshの基礎を作り上げた「Lisa」の設計思想とは?


1984年に「Macintosh」が発売されました。しかし、その1年前にAppleは「Lisa」というコンピュータを発売しています。

Apple創業者のスティーブ・ジョブズが自分の娘の名前をつけたことで有名なこの製品は、実は2年ほどしか販売されていません。しかし、Lisaのグラフィカル・ユーザー・インターフェースは、驚くほど現在のコンピュータに似たものとなっています。


1970年代後半のコンピュータは、今のようなアイコンはなく、全てがコマンドラインで操作されていました。そのため今のような直感的操作はできず、操作の習得が困難でした。


一部の開発者はコンピュータの魅力をもっと広めるためには、コマンドラインからもっと視覚的なものへと進化させる必要があると考えていました。そして「ウィンドウ」「ハイパーリンク」「マウス」などが開発されます。これらのアイデアはゼロックスという研究所が採用し、アルトと呼ばれるプロトタイプに組み込まれました。

Appleのスティーブ・ジョブズは、アルトの革新的システムに可能性を感じゼロックスと契約を結びました。ジョブズは、このシステムが今後すべてのコンピュータに搭載されると確信を持っていたようです。

Appleの開発者たちは、アルトからたくさんの影響を受けました。その後、開発を続けていくと仮想デスクトップのように動作するコンピュータが自然だと考えられました。そして開発されたのが「Lisa」です。


Lisaには難しいコマンドラインは無く、一目で分かるフォルダーや今では当たり前のゴミ箱のアイコンがあります。現在、コンピュータを使用しているユーザーであれば、おそらくLisaの使い方が分かるはずです。


AppleはLisaをオフィス用コンピュータのあるべき姿だと考えていました。しかし、Lisaの価格は1万ドル(約140万円)という高価な価格設定だったため、商業的には失敗してしまいます。

そこでAppleは1年後に「Macintosh」を発売します。Macintoshのコンセプトは「Lisaの機能をどうすれば手頃な価格で提供できるか」でした。

Lisaは同時にアプリが起動できましたが、Macintoshはアプリを同時に起動することはできず、アプリの切り替えに1分ほどかかります。しかし、このように機能を限定的にすることによって、処理能力を高速化させ販売価格を数千ドル安くすることに成功します。また、Lisaはオフィスワーカー向けに販売されていましたが、Macintoshは幅広い層に向けて販売されました。


ちなみにMacintoshが登場した際におなじみのAppleメニューも搭載されました。


Appleは1984年、Macintoshに全力を尽くしました。そして、その1年後にLisaをひっそりと廃止します。しかし、その後もLisaの意思を引き継いだMacintoshのシステムは受け入れられ定着し進化を続けます。

Appleが「ただのパソコンメーカー」として位置づけられず、強いブランド力を維持できた理由の1つは、まさにこの「ユーザー最優先」という信念にあるといえるでしょう。Lisaから始まった「コンピュータはユーザー中心であるべきだ」という設計思想は、今でもAppleを支えつづけているのです。

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