カロリーゼロと表示されているダイエット飲料を一度くらい飲んだことがある人は多いのではないでしょうか。しかし、実はダイエットには効果がなく、さらには体に有害だと世界保健機関(WHO)が報告しています。
*Category:サイエンス Science *Source:arstechnica,wikipedia
WHOが人工甘味料の使用を控えるようにと勧告
ダイエットをしている人は、ダイエット飲料や人工甘味料の入ったお菓子など、砂糖の代わりになるものを摂取してカロリーを減らすことが多いようです。しかしWHOは、これらの人工甘味料は体重のコントロールには効果がないと報告しています。加えて、2型糖尿病、心血管疾患、死亡の長期的リスクを高めるとのことです。さらにWHOは、体重コントロールや健康増進のために人工甘味料を使用しないよう勧告しました。(この勧告は、健康な子供と成人に適用され、糖尿病の既往症がある人は、人工甘味料を使用することで効果が得られる可能性があるため、対象外とされています。)
人工甘味料の使用による影響をより長期的に見るために、専門家は、少なくとも2年から30年以上にわたって健康状態を追跡した研究に目を向けました。これらの研究を総合すると、人工甘味料の使用量が多いほど、BMIが高くなり、肥満の発生率が76%高くなることがわかりました。2型糖尿病については、飲料に含まれる甘味料を摂取している場合はリスクが23%高く、食品や飲料に添加するパッケージ版の人工甘味料を摂取している場合はリスクが34%高くなりました。また、甘味料の使用量が多い人は、脳卒中(19%)、高血圧(13%)などの心血管疾患のリスクも32%高くなることがわかりました。最後に、人工甘味料の摂取量が多いほど、あらゆる原因による死亡リスクが10%、心血管疾患による死亡リスクが19%上昇しました。(ただし、がんによる死亡に関連するリスクの上昇は見られませんでした。)
すべての調査結果を受けて、専門家は甘味料の使用を控えるよう勧告しました。そしてWHOは「人工甘味料の使用が長期的に体重や体脂肪率の他の指標に有益であることを示唆する証拠はない。さらに非伝染性疾患や死亡のリスク増加という長期的に望ましくない影響がある」と結論付けました。
しかしこの結果は絶対的なものではありません。他の要因が関与する可能性があるとされているからです。例えば「逆の因果関係」が働いている可能性があると指摘されています。つまり、人工甘味料を使用しやすい人は、肥満・2型糖尿病・心血管疾患などの発症リスクがすでに高くなっている可能性があります。したがって、おそらく人工甘味料の使用がリスク上昇の原因ではなく、むしろリスク上昇のため砂糖の代わりに人工甘味料の使用を招いたのでしょう。
また人工甘味料は種類が多く、それぞれが独自の構造、甘味度、体内での処理の仕方を持つという問題もあります。しかしWHOの調査では入手可能なデータが限られているので人工甘味料と一括りにされています。そのため個々の甘味料が持つリスクと利益を評価するためのデータがさらに必要であると指摘されています。
人工甘味料が健康に有害な影響を引き起こす可能性のあるメカニズムについて、さらなる研究が必要です。今のところ、WHOなどの専門家は、人工甘味料に切り替える以外にも、果物を食べたり、全体的に甘くない食事にするなど、糖分を減らす方法も提案しています。また、消費者に対しては、食品に何が含まれているかを常に把握し、たとえ表示されていなくても、食品や飲料に人工甘味料が含まれていないかどうか成分表を確認するよう注意を促しています。
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