古代の石器が現生人類とは無関係の種によって作られた可能性があることをしめす論文が、科学誌「Science」に掲載されています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:science ,Motherboard ,NewScientist,オルドワン石器(Wikipedia)
人類以外が使っていた「最古の石器」
長年にわたり、約260万年前に初めて道具である粗石器を使用したのは、アフリカの人類の祖先だと考えられてきました。しかし、今回発表された研は、30万年以上前に全く別の場所で、現生人類の祖先とは別の種が道具を作っていたことを示しています。
最古の石器として知られるオルドワン石器は、食料を効率よく加工するための画期的な道具とされてきました。このような道具の出現は、文化の発展におけるマイルストーンとして広く受け止められており、「知的生命体」としての人類の出現の時間軸を探る重要な手がかりとなっています。
論文のよると、今回発掘されたのはケニアのニャヤンガにある3032万年前から2581万年前の遺跡です。考古学者は2015年からこの遺跡を発掘し、道具を含む330の遺物、1776の骨、2つのホミニン(ヒト亜族)の臼歯を発見したとのこと。しかしこれは、人類(ホモ・サピエンス)の直接の祖先のものではなかったのです。
論文によれば、研究チームが発見したのはパラントロプス属の臼歯だったとのこと。パラントロプス属 はより頑丈な体型が特徴で、現代のホモ・サピエンスの祖先ではなく、進化上ではいとこのような存在です。なお、この臼歯は、これまで発見されたパランスロプスの中で最も古い化石だそうです。
また道具と一緒に、2頭のカバの骨も発見され、ヒト科の動物が道具を利用して大きな動物を加工し、食べていたことも明らかになりました。これは、この石器が道具として十分に機能していたことを示しています。
研究チームは、道具が見つかった堆積物や、一緒に見つかった化石の種類などの分析から、300万年強から260万年前のものだと推定。これは、記録上最も古いオルドワンの道具ということになります。オルドワン石器は、人類の祖先であるホモ属が最初に使ったと広く信じられていますが、この石器と臼歯の発見は、それを覆す可能性があるのです。
「この石器がパラントロプス属と関連づけられたことで、最古のオルドワン石器は誰が作ったのかが、改めて明らかになるかもしれません」と、クイーンズ大学の人類学教授のトーマス・プラマー氏はプレスリリースで述べています。
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