「極超音速ミサイル」は音速の5倍を超え、「米軍でも迎撃不可能」と言われている脅威の兵器です。しかし実際のところ、極超音速ミサイルはまだまだ未完成な部分が多く、喧伝されているほどの実力はないと考えられています。極超音速ミサイルを作ることがどれほど難しいかについて、海外YouTubeチャンネル「Not What You Think」が解説しています。
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極超音速ミサイルの製造が困難である理由とは?
極超音速ミサイルは、非常に高速であるだけではなく「ステルス性と高い機動性がある」からこそ、迎撃が難しいといわれています。このような極超音速ミサイルを製造するためにはまず、高性能なエンジンが必要です。そこで、現在開発されているのがスクラムジェットエンジンです。
スクラムジェットは、従来のエンジンよりも高速で効率よく動作し、マッハ24という最高速度の推進が可能です。スクラムジェットは、マッハ5程度で運転を開始するため、ロケットでブーストするか、B-52のような飛行機から投下する必要があります。
スクラムジェットは過去70年にわたり開発されています。しかし、現在でもスクラムジェットを製造することは、ものすごく難しいようです。スクラムジェットのエンジン内部はすべてが信じられないほど速く動いています。そのため、 数ミリ秒の間に、適切な量の燃料を適切な圧力で空気と混合し、持続可能な燃焼サイクルを作り出す必要があります。今の技術では、全てのプロセスの信頼性を上げることはできていないようです。
スクラムジェットの運用が難しいのであれば、なぜ極超音速で飛ぶロケットを使わないのでしょうか? 世界初の長距離弾道ミサイルであるドイツのV-2は、上昇中に一瞬だけマッハ5を超える速度に達することができます。また、ロシアのイスカンダルなどの現代の弾道ミサイルは、成層圏でマッハ7に達することができます。さらに、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、宇宙空間で巡航しながらマッハ20以上の速度に達します。
しかし、弾道ミサイルには「予測可能性」という問題があります。弾道ミサイルのロケットエンジンが燃え尽きると、決まった軌道を惰性で飛行することになります。その時、極超音速から超音速に減速し、迎撃が容易になってしまいます。一方、極超音速ミサイルは、極超音速で飛行しつつ操縦することができるため、予測が難しく、迎撃が難しいです。
やはり、敵に脅威を抱かせるためには、極超音速ミサイルが必要だということです。しかし、スクラムジェットエンジンの開発の問題以外にも、極超音速飛行には多くの問題があります。
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