現在、ヨーロッパの安全保障上の最大の懸念となっている某国が運用していると見られている自爆ドローン「シャハド136」。「カミカゼ・ドローン」とも呼ばれるこのドローンが脅威となっている理由や仕組みについて、航空兵器に詳しい海外YouTubeチャンネル「AiTelly」が解説しています。
*Category:テクノロジー Technology|*Source:AiTelly ,Wikipedia ,WION ,Secret Weapons
カミカゼ・ドローン「シャハド136」の仕組みと特徴
シャハド136の全長は3.56メートル、翼幅2.59メートルで、後方にはデルタ翼を搭載しています。弾頭の重量は5キロから35キロに及びますが、これはミッションに依存するとのこと。
そして、このドローン最大の特徴が50馬力のMD550エンジンを搭載している点です。これは原付、もしくはスクーターのエンジンと同等の馬力で、非常に安価に調達できるものとみられています。
デルタ翼とこの原付エンジンを組み合わせることで、航続距離は1800キロメートルから2500キロメートルに達します。このドローンはGPSでコントロールされていると見られており、今後さらに精度などが強化される可能性があるとのこと。
発射の第1段階として、まず約5機のドローンは貨物輸送用のトラックに載せられて運ばれます。そして、ボタンを押すと、無人機はロケット支援離陸で起動し、途中から推力がエンジンに切り替わり飛び立つのです。また、シャハド136はその特性上、敵の防空システムを圧倒するために一度に5〜10機が使用されます。
シャハド136は軽量化、効率化を図ることで、原付エンジンを採用して低価格に抑えました。詳細な価格は不明ですが、見積もりでは1機20000ドル(約300万円)程度とみられています。これは、100万ドルを超えるトマホークミサイルなどに比べると非常に安価です。
また、非常に小さいため、レーダーによる検出が困難な点も特徴です。このドローンは非常に低速で飛行しているため、ジャベリンやスティンガーミサイルで対抗することもできますが、コストパフォーマンスは良くありません。対抗手段としては高射砲などがあげられますが、現状では有力な対抗策が少ないといっていいでしょう。
同チャンネルはこのドローンについて、5機のうちの何機かを撃墜できても、1つのドローンは防衛システムを通過できてしまうと指摘しています。なお、動画や海外の多くの報道では「カミカゼ・ドローン」と呼ばれていますが、米民間団体からは注意喚起もでています。
「カミカゼ・ドローン」と呼ばないで――。米民間団体がウクライナ侵攻でロシアが活用する自爆型ドローン(無人機)の呼び方を改めるように報道機関に要請した。イラン製とみられるドローンは日本と無関係であり、アジア系への偏見につながる可能性があると注意喚起している。
「カミカゼ・ドローンと呼ばないで」 米団体が要請|日本経済新聞
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