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第二の「世界恐慌」は起こるのか?


コロナ渦やロシアのウクライナ侵攻など、ここ数年のさまざまな出来事はいずれも世界中の経済に大きな影響を与え、多くの国が「景気後退」に悩まされています。

ウイルスの蔓延と戦争、さらにはサプライチェーンの問題が同時に発生したことは、現代の経済では前代未聞であり、今後どうなるかは全くの未知数です。これについて、過去の実例をもとに不況や恐慌の原因を、海外YouTubeチャンネル「The Infographics Show」が解説しています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:The Infographics Show,wikipedia

不況や恐慌の原因とは?


現在、経済が減速し、インフレが進行していることは明白です。そして、失業率の上昇、倒産、個人消費の減少などは、景気後退の兆候を示す重要な指標となっています。

不況とは「数ヶ月間にわたる経済の減速や縮小」と定義されています。多くの専門家は、実質国内総生産(GDP)が2四半期連続で減少することを景気後退と分類しています。

実質GDPとは、経済活動を他の四半期とより正確に比較できるように、インフレを考慮して経済数値を調整したものです。これにより、経済が実際にどのような状況にあるのか、また、金融危機の可能性があるのかをより正確に把握することができます。

景気後退は経済成長の正常な一部であることを心に留めておくことが重要です。

株を買ったり、株式市場に詳しい人なら、数年の間に必ず高値と安値があることをご存じでしょう。景気後退は、経済が有機的に成長するための長いサイクルの一部であるということを、ほぼすべての経済学者が認めています。

景気は、何かがきっかけとなって減速したり縮小したりするまで、成長を続けます。そして、そのきっかけとは、戦争、パンデミック、2007年のアメリカ住宅市場のような金融バブルの崩壊など、さまざまな出来事が考えられます。

景気後退の兆候を示すもう1つの重要な要因は、金利の上昇です。金利が高くて景気が悪くなるのであれば、銀行や政府は金利をできるだけ低くすればいいと考える人もいるでしょう。しかし、そのような単純な話ではありません。

最近、金利が上昇傾向ですが、それには理由があります。金利を上げることは、インフレを遅らせたり、逆行させたりするのに有効なのです。

インフレになると、消費者が同じ商品を購入するために、以前よりも多くのお金を使わなければならなくなります。つまり、物価が上昇し、通貨の価値が下がるということです。


どう考えても、インフレは消費者にとっても経済にとっても悪いことです。しかし、コロナ渦から脱却した今でもこのような現象が起きています。

コロナ渦の間、外に出れなかったため、当時は使うことができないお金を持っていました。そして、規制が緩和されると、人々はその貯めていたお金を使い、高い需要を生み出しました。

しかし、コロナ渦による工場の停止やサプライチェーンの問題で、製品の生産量が乱れました。その結果、食料品や電化製品などの日用品の供給が需要に追いつかず、消費者がついていけないほどのスピードで価格が高騰したのです。

そこで、アメリカの連邦準備制度理事会は、金利を上げて人々がローンを組んだり借金を増やす可能性を減らしました。その結果、現状のインフレレベルは安定しているといわれています。ただ、金利の引き上げが実際にアメリカの不況を食い止めたかどうかは、時間が経ってみないとわかりません。


世界の多くの国々が同じ問題に直面しており、自国の経済が不況に陥らないように予防策をとっています。

もし、アメリカや他の国々が不況に陥ったらどうなるのでしょうか。不況になると、多くの人が心配するのは、失業率が上がることです。

景気が悪くなると、企業はコスト削減のために従業員を解雇する必要があります。つまり、ますます多くの人が使える所得が少なくなり、景気がさらに悪くなるということです。

不況のために人々が解雇されると、政府にはより多くの援助圧力がかかります。しかし、政府もこの時期には財政的に苦しくなり、国民に支援を提供することが難しくなります。一旦、不況に陥ると、事態は悪化の一途をたどるのです。

ただ、金利を引き上げ、失業者を支援し、企業に回復のための時間を与えれば、やがて景気は回復し、再び成長します。そうすれば、雇用が回復し、人々が再びお金を使うようになるため、企業は利益を上げられるようになります。

もし、それができなかったらどうなるでしょうか。経済が制御不能に陥ったら恐慌の始まりです。

現在、アメリカでは1929年から1939年まで続いた世界恐慌の1回しか経済恐慌は起きていません。しかし、今は未曾有の時代であるため、経済の先行きがどうなるかはわかりません。

恐慌と不況は、どう違うのでしょうか。多くの経済学者は「恐慌は本当に長い不況に過ぎない」と考えています。恐慌が宣言されるのに必要な正確な期間は決まっていませんが、一般的には数年程度です。

不況の期間は、会計年度の2四半期以上、あるいは半年程度であることが多いですが、事態が本当に悪化した場合には、もっと長くなることもあります。


1973年の石油危機では、原油価格が4倍になり、株式市場が暴落したため、アメリカ経済は約1年4カ月間、不況に陥りました。同様に、2008年の大不況は約1年半続きました。

しかし、これらの期間は、他の一定の基準を満たさないため、いずれも恐慌には分類されません。不況はおおむね2年以上続くと恐慌に移行します。また、実質GDPが1年間に10%以上減少する不況を指します。

GDPの大幅な低下以外に恐慌であることを示す重要な指標は、不況と同様、高い失業率です。ただ不況とは異なり、この失業率は最終的に景気が底を打つまで何年も増え続けます。

恐慌になると、国際貿易が停滞し、国内外の消費者が経済に対する信頼を失い、生産が縮小する傾向があります。

経済恐慌を理解する最も簡単な方法は、過去に起こった唯一の恐慌を調べることです。過去や現在の不況と同様に、世界恐慌もさまざまな要因で発生しました。

第一の要因は、20年代のアメリカ経済が驚異的に、しかも持続不可能なまでに成長したことです。大衆は莫大な資金を株式市場に投入し、銀行から融資を受けました。そして、その融資の利子を株式売却益で支払うという方法で、より多くの資金を投資するようになったのです。

銀行は、利子で戻ってくることを期待して、持っていないお金をたくさん貸し出したのです。人々も自宅を抵当に入れ、可処分所得のすべてを使って株式を購入しました。

1920年代は、このやり方でうまくいきましたが、その後すべてが崩れ去りました。経済というものは、上がれば必ず下がるということを忘れてはいけません。

1929年10月、株式市場はピークに達し、冷え込み始めました。経済成長は永遠には続かないので、これは必ず起こることでした。


株式市場は、将来有機的に成長するために、常にリセットされることが避けられないのです。ただ、1920年代の人々は、いずれリセットされる経済システムについて考えていなかったのです。

そして、株価は下落し、誰もがパニックに陥りました。もし、大衆が冷静で、株式市場から必死に資金を引き揚げようとしなければ、1929年の暴落は単なる不況に終わっていたかもしれません。しかし、そうはなりませんでした。

銀行や企業は、一斉にお金を引き揚げたら貸し倒れになり、経済全体が崩壊すると警告したにもかかわらず、誰も耳を貸さなかったのです。これが世界恐慌を招いた大きな要因の1つです。

そして、株式市場の暴落と同時に、人々は銀行そのものへの信頼を失いました。なぜなら大衆は、銀行が持続不可能な融資を行うことを目の当たりにしていたからです。

その結果、銀行が自分たちの貯蓄をすべて失ってしまうのではないかと心配になり、人々は金融機関からお金をすべて引き揚げ始めたのです。金庫の中のお金が少なくなると、銀行はさらに貸し倒れを起こします。その結果、経済の衰退をより悪化させ、不況はさらに数年続くことになります。

大恐慌の間、失業率は25%近くにまで跳ね上がりました。国民の4分の1が家族を養えないばかりか、製品を買ったり、経済への投資もできなくなりました。

このため、企業は成長できず、産業全体が崩壊しました。このときGDPは30%減少したと推定されます。


そして、この事態が、もう1つの問題を引き起こします。アメリカ経済が落ち込むと、それが世界にも影響を及ぼしたのです。要するに、外国製品に使う余剰資金がないということです。

アメリカの消費者の購買力に大きく依存していた世界の他の国々の経済にも打撃を与えました。

アメリカからの輸出品は比較的安価で、ヨーロッパ諸国からの製品は高価でした。外国の経済がアメリカの製品をどんどん買うようになると、その国のお金がアメリカにどんどん流れ込んできます。その結果、金準備高が減少し、他国の通貨が切り下げられました。

外国の銀行は金利を引き上げて貿易収支の不均衡を止めようとしましたが遅すぎました。アメリカの世界恐慌は世界中に広がり、他の国の経済も衰退させたのです。

結局、1930年代に恐慌を経験したのはアメリカだけではなかったのです。世界のほとんどすべての経済が、生産と貿易の減少の影響を受けたのです。

そして、ルーズベルト大統領は、連邦預金保険公社(FDIC)を設立しました。この組織は、経済を安定させ、GDPを増加させるために、いくつかの金融政策と財政政策を実行しました。これらの政策と高金利により、最終的に景気は回復しました。

ここで重要なことは、不幸な出来事がすべて同時に起こり世界恐慌が発生したということです。

不況もこれと同じです。不況の原因として、経済学者が指摘できるような単一の事象が存在することは稀です。経済学者、銀行、企業は、実際に不況が起こるまで、不況かどうかわかりません。100%の精度で不況を予測することは不可能なのです。

インフレの進行とそれに伴う金利の上昇など、不況の到来を示唆する重要な要因は確実に存在します。また、金利の上昇と同時に失業率も上昇すれば、景気後退の可能性はさらに高くなります。


しかし、実質GDPが分析され、経済学者がすべてのデータを入手するまでは、結論が出せません。景気後退と不況の違いは、ほとんどが時間の問題であり、実際にどの程度悪化しているかということが重要なのです。

ただ、数年続くような深刻な不況や、GDPが何年も連続して10%以上減少した場合、それは間違いなく恐慌です。そして、現在はグローバル経済のため、一国の恐慌は他の国の経済に影響を与えます。

特に、アメリカ、中国、EUなどのGDPが大きく、消費大国である国々は、その傾向が顕著です。これらの国々の経済が何かの拍子に崩れてしまえば、第二の世界恐慌が起こる可能性は十分に考えられるでしょう。

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