火星の温度を上げると人類は火星移住ができるようになるといわれており、イーロン・マスクはこれを核爆発によって実現しようと考えました。
これが現実的なプランではないことは前回の記事で説明しました。今回、火星の温度を上げる他の具体策について、海外YouTubeチャンネル「The Infographics Show」が解説しています。
<!–●
(全2回の1回目/» 後編を読む)●–>
*Category:テクノロジー Technology|*Source:The Infographics Show,wikipedia
「巨大な鏡」を使って火星の温度を上げる方法とは?
1つ目に、火星の温度を上げるために、クロロフルオロカーボンを生成するという方法があります。クロロフルオロカーボンとは、地球上のオゾンを破壊するガスで、古いエアコンや冷蔵庫などの家電製品の使用によって発生する分子です。
地球では、クロロフルオロカーボンが大気を汚染することがわかったため、現在ではほとんどの国で使用が禁止されています。しかし、火星の温度を上げるには温室効果ガスは、非常に有効的なものです。
ある種の物質を燃やしてクロロフルオロカーボンを放出し、火星の氷を溶かせば、火星に核攻撃したり無数の小惑星をぶつけたりせずに、ゆっくりと大気を変化させることができるのです。
この計画の問題点の1つは、最初の拠点を設立する必要があるということです。拠点を作るには、大量の資源が必要であり、長い時間がかかります。しかし、最終的には人類が住む新しい惑星を手に入れることができるため、それだけの価値があるかもしれません。
2つ目に、宇宙から火星の温度を上昇させる方法もあります。
温室効果ガスを増やす必要があることは否定しませんが、巨大な鏡を使えば、火星の地表をかなり暖かくすることができると考える科学者もいます。
この計画で最も難しいことは、巨大な鏡を準備しないといけないことです。この鏡は、火星の片面全体を照らすことができる大きさでなければなりません。なぜなら、もし太陽光が一カ所にしか当たらなかった場合、火星の温度変化に必要な温室効果ガスを十分に生成できないからです。
反射した太陽光が広く当たれば当たるほど、温度上昇の度合いが均一になります。
この鏡を設置できれば、氷の融解や、火星の岩石の中に閉じ込められたCO2を放出することができるかもしれません。しかし、核爆発計画と同様に、火星の表面には十分な温室効果ガスがないため、鏡だけでは不十分です。
そして、これが最も現実的かもしれませんが、3つ目に「火星の最適なテラフォーミングは、これまで述べてきたような戦略を組み合わせるべき」という考え方があります。
例えば、極点で核兵器を爆発させて、テラフォーミングのきっかけを与えます。続いて、温室効果ガスが豊富な小惑星を火星に衝突させます。最後に、巨大な鏡で火星に強烈な太陽光を浴びせ続けるのです。
そして、数十年後に事態が落ち着くのを待ってから、移住者と技術者を乗せた宇宙船を送り込み、クロロフルオロカーボンを作る工場を建設して、CO2を放出させるのです。
火星の温度を上げた後にも解決しなければならない課題があります。それは、人類が呼吸できるように大気中に酸素を入れることです。
酸素は温室効果ガスではありませんが、テラフォーミングされた火星で生きていくために必要です。
火星で生命を維持するための十分な酸素を発生させる最善の方法は、火星全域で植物を育てることです。植物は光合成を行うために大気中のCO2を吸収し、酸素を大気中に放出します。
人類は何十年、何百年もかけて火星の温室効果ガスの量を増やそうとしているため、これは逆効果です。
そのため、火星で温室効果ガスを増やす際はCO2の必要量を多めに設定して、植物に十分な量を供給しつつ、温暖な気候を維持する必要があります。しかし、火星で植物を育てることは、口で言うほど簡単なことではありません。火星の土壌には栄養がないため、火星全体を肥料にする必要があるのです。
地衣類や菌類、バクテリアなどの先駆的な生物が生息できる土壌を作ることができれば、岩や砂を地球のように変えてくれるでしょう。
これは、海の中にできた島を植物でいっぱいにするようなものです。ただし、それを星で例えるなら、島の代わりに星全体、海の代わりに広大な宇宙空間となり、規模が大幅に拡大してしまいます。
また、火星で植物を繁栄させるためには、新たな遺伝子操作を行う必要があるかもしれません。ただ、テラフォーミングのプロセスが、その段階に至るまでに、人類はさらに革新的な技術を手に入れているでしょう。
しかし「火星テラフォーミング計画」には、技術的な課題以外にも倫理的な問題があります。
<!–●
●–>
(後編は8月5日17時48分 公開予定)
Source: app