Apple社のMac向け新チップ「Mシリーズ」に対抗するため、アメリカの大手半導体メーカー、クアルコムが取り組みを強化しています。
*Category:テクノロジー technology|*Source:9to5Mac ,Counter Point ,The Verge
Appleに対抗する米クアルコムが取った危険な手段
クアルコムは、ARMベースのプロセッサーである“Snapdragon”シリーズを、主にAndroidスマートフォン向けに提供していることで有名なメーカーです。
カウンターポイント社の調査によると、スマートフォン(AP)市場では、クアルコムは台湾MediaTek社と並ぶ世界トップシェア率を誇ります。ただし、2020年後半から今年にかけてはMediaTekにシェア率を抜かれるなど、スマホ市場では苦戦もみられます。
そんなクアルコムが今、力を入れているのがPC向けのCPU開発です。海外メディア『The Verge』によると、同社は先日のイベントで、再設計したPC向け次世代CPUの次世代技術を発表し「(Appleの)Mシリーズに対して競争力のあるソリューションだ」とアピールしました。
この次世代CPUは「Windows PCのパフォーマンス・ベンチマークを再定義する」よう設計されており、「持続的なパフォーマンスとバッテリー寿命におけるリーダーシップ」としての役割を果たすそう。方向性はAppleシリコンが目指すものと似通っており、まさに「Windows向けのAppleシリコン」と言えるような存在になることが期待できます。
このCPUの開発に大きく関わったのが、今年はじめにクアルコムが買収した“NUVIA”というチップメーカーです。注目すべきは、このNUVIAが「Appleの“Aシリーズ”を開発した元エンジニア3人が設立した」という点でしょう。
クアルコムによるNUVIAの買収は、危険もはらむものでした。テック系メディア『9to5Mac』によると、NUVIAのCEOであるジェラルド・ウィリアムズ氏は2019年3月にAppleを退社し、その直後にAppleから訴訟を起こされています。Appleは起訴の中で、同氏が「Appleの技術を悪用し、他のAppleの従業員を引き抜いて、NUVIAに入社させた」と主張しています。
これに対しウィリアムズ氏は、Appleは彼のテキストメッセージを違法に監視しており、同社のいう「契約違反」には法的強制力がないと、自らの訴訟で反撃しました。この訴訟にはまだ決着がついていません。それにも関わらず、クアルコムはNUVIAを買収して技術を統合し、前進しようとしています。
クアルコムはこのPC向けCPUを2023年にリリースする予定です。クアルコムのこの方針には危うさも感じられますが、我々ユーザーにとっては、イノベーション起点となる競争が激化することはメリットです。各社にエールを送りつつ、良い製品が登場することを願いましょう。
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