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40年前の小型戦車がいまさら活躍しているワケ

ドローンや対戦車歩兵が活躍する現代の戦争では、巨大な戦車は時代遅れとなりつつあります。一方で、最近になって改めて注目されているのが1980年代に開発された小型の歩兵戦車「M2ブラッドレー」です。この戦車が活躍している理由について、軍事兵器に詳しいYouTubeチャンネル「Not What You Think」が解説しています。


*Category:テクノロジー Technology *Source:Not What You Think,wikipedia

ウクライナ戦争で変わった戦車の常識とは?


ロシア・ウクライナ戦争では、対戦車歩兵やドローンなどの活躍により戦車がこれまで以上に脆弱であることが分かりました。実際、ニュースなどでも戦車が破壊されている光景をよく目にします。


一般的な戦争で戦車が活躍するためには「制空権」を握る必要があります。制空権を握れば、敵の居場所を把握でき効率的に戦車を進めることができます。しかしウクライナ戦争では、ウクライナはパイロット不足、ロシアは部品不足のため共に制空権を掌握できていません。

またドローンの進化により、戦車が戦場に隠れることもほぼ不可能になりました。ひとたび戦車が発見されれば、敵兵が対戦車兵器や別のドローンを使って戦車を破壊します。戦争が始まって以来、戦車は着実に損耗しています。


そして、ウクライナ戦争は21世紀によく見られた短期決戦ではなく、ゆっくりとした消耗戦です。消耗戦では、歩兵を温存することが重要な目的になります。

こうした状況のため、ウクライナ戦争では新たな戦略が生まれつつあります。それは「歩兵戦闘車」(IFV)などの小型な戦車を活用し、歩兵を安全に目的地まで送り込むという戦略です。実際、2023年1月以来、米国はウクライナの反攻作戦を支援するためにIFVの「M2ブラッドレー」を派遣し、大きな成果を上げています。


M2ブラッドレーが活躍できる理由は3つあります。

1つ目は、搭乗者の命を守ることに特化しているということです。M2ブラッドレーは、一体型反応装甲を備えた下面の追加装甲を搭載したり、砲弾や装甲の破片から兵士を守るための特別な構造になっています。

2つ目は、M2ブラッドレーが標的になりにくいということです。M2ブラッドレーは主に歩兵の搭乗者が降車する際の支援を目的としています。攻撃の対象になりやすいのは、攻撃力の高い大きな戦車です。その結果、M2ブラッドレーの被害は最小限になります。

3つ目は、M2ブラッドレーが高速で俊敏だということです。M2ブラッドレーは最高時速64㎞で走行し、足回りの機構がコンパクトになるトーションバー・サスペンションを搭載しています。また、シャーシと装甲にアルミニウムを使用しているため、不整地を横切る際の衝撃が軽く、損傷する危険性も低いです。この可動力により、M2ブラッドレーの運転手と砲手は戦闘中に動き続けることに集中でき、ドローンや対戦車ミサイルを上手く回避できます。

また、戦車が軽ければ軽いほど、戦場への輸送が容易になるというメリットもあります。

ドローンなどのテクノロジーが進化したことによって、戦車の活用方法が変わりつつあるのです。

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