近年のインフレや経済後退の中、順調な売上を見せてきたAppleのiPhoneシリーズ。しかしここ一ヶ月ほどの間、同社は解決しない深刻な「iPhone 14 Pro」不足に悩まされているようです。
*Category:テクノロジー Technology *Source:CNBC ,Medium.com(Ming-Chi Kuo) ,Appleinsider
iPhone 14 Pro不足で「需要が消滅」Appleの年末商戦に暗雲
中国におけるゼロコロナ政策により、iPhoneの組み立てを行うFoxconnの工場では抗議や暴動が発生しています。Foxconnは従業員を引き留めようと様々な施策を行っていますが、辞職者は多く新規採用も追いついていません。
これにより、大きな遅れが発生しているのが「iPhone 14 Pro」です。発売からすでに3ヶ月が過ぎたにも関わらず、iPhone 14 Pro及びPro Maxモデルのお届け予定日は「5〜6週間」となっています。
米通信社「CNBC」が確認したモルガン・スタンレーの新しいレポートでは、この影響により、Appleが出荷するiPhoneは当初の予想より900万台ほど少なくなると予想されています。これは以前の予想より300万台少ない数です。
モルガン・スタンレーは、Appleの出荷台数を当初予想の8500万台から7550万台程度に引き下げると予想しています。これは、Appleのサプライヤーが中国での混乱に直面しているためです。
モルガン・スタンレーはこれについて「12月の失われた需要がどれだけ延期できるか」が重要だと指摘し、「iPhone 14 Pro/Pro Maxの需要は堅調に推移しており、12月に失われた需要は3月に延期される可能性が高い」という楽観的な見方を示しました。
しかし、Appleに詳しいアナリストのミンチー・クオ氏は、より厳しい見方を示しています。同氏はAppleの2022年第4四半期のiPhone出荷台数予測を、市場コンセンサスの8000〜8500万台に対し、20%減の7000〜7500万台とする見解を示しました。
さらにクオ氏が指摘するのが「長期間の出荷遅延」に加え「景気の後退」の影響です。景気の影響の1つとして、ドル高を受け、日本国内では前モデルの「iPhone 13 Pro」に比べて「iPhone 14 Pro」は最低構成でも2万7千円値上がりしました。
これらの影響により、iPhone 14 Pro不足で失われた需要は「消滅」するとクオ氏は考えており、iPhone 14 Pro購入を検討していたであろう多くの顧客は、供給が改善されても1月以降にデバイスを注文することはないだろうと指摘しています。
この失われた需要の一部は来年のiPhone 15に向かうと考えられますが、現在はGoogle Pixelシリーズを始めとした、5、6万円以上安いAndroid端末の選択肢も数多くあります。Appleにとっても重要な年末商戦におけるiPhone 14 Pro不足は、長年のファンの「Apple離れ」を加速させる悩ましい問題となりそうです。
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