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イーロン・マスクが「核爆発で火星をテラフォーミングできる」と断言するワケ|前編


テスラやSpaceXの創業者であるイーロン・マスクは、核を使ったテラフォーミング(火星の環境を変化させ、人類が住めるようにする計画)を語ることがあります。

しかし実際のところ、このようなテラフォーミングは現実的なのでしょうか?これについて、海外YouTubeチャンネル「The Infographics Show」が解説しています。

(全2回の1回目/» 後編を読む)




*Category:テクノロジー Technology|*Source:The Infographics Show ,Wikipedia ,Tesla

イーロン・マスクが唱える火星のテラフォーミング計画


火星全域に核兵器が配備され、一斉に爆発し、空に浮かぶ赤い点に白い閃光が走ります。

火星で爆発した核爆弾は、火星の表面に強烈な熱と放射線を浴びさせます。火星を核で破壊することによって、人類が住みやすい惑星に変化するのです。

このような考えは、本当にうまくいくのでしょうか。

イーロン・マスクはトークショーで「人類が住めるようにするために火星を核攻撃して星の環境を変える」と発言して注目を集めました。しかし忘れてはならないのは、彼はエンジニアであっても科学者ではないという点です。


「The Infographics Show」は、彼が科学関連の情報源として信頼できる人物ではないと指摘しています。彼は科学分野の上級学位を取得していませんし、科学に関する査読付き研究を発表したこともありません。

しかし、彼は物理学の学士号を取得しています。ただ、そのほとんどが固体物理学であり、地質学、生物学、気候物理学、あるいは火星の変化に関連する分野とは関係がありません。

そのため、彼の「火星に熱核兵器を投下すれば人間が住めるようになる」という発言は信憑性に欠けています。

火星を核攻撃する目的は、大気中に温室効果ガスを放出し、火星を暖めることです。


現在、火星の平均気温は-62°Cです。この環境は、人類をはじめ、地球上のほとんどの生命体にとって過酷な環境であることは明らかです。火星の温度を上げるには、大気中の温室効果ガスを増やし、熱を逃がさないようにする必要があります。

現在、火星の大気の大部分は、重要な温室効果ガスであるCO2で構成されています。しかし、その量は十分ではありません。水蒸気も温室効果ガスに含まれ、気温を上昇させる可能性があります。また火星には、かなりの量の水が凍っているため、核攻撃によって氷を水蒸気に変え、それを大気中に放出することができます。


地球の大気には、CO2や水蒸気などの温室効果ガスが含まれてるからこそ、私たちは地球で快適に暮らすことができるのです。そこでマスクは、核攻撃で火星の大気の組成を変え、火星が熱を保持できるようにし、私たちの第二の故郷にしようとしているのです。

理論的には、火星を核攻撃すれば、水蒸気と多くのCO2が大気中に放出されることは間違いありません。しかし、この計画にはいくつかの問題点があります。


» イーロン・マスクの「火星テラフォーミング計画」が失敗に終わる理由|後編
(7月31日17時48分 公開予定)

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