ベルギー1部のジュピラー・プロ・リーグでプレーする日本代表FW上田綺世選手が絶好調です。昨年7月に鹿島アントラーズからセルクル・ブルージュへと移籍すると、第6節のズルテ・ワレヘム戦で初ゴールを決めてから、ここまでリーグ3位の17得点と大暴れ。2023年に入ってからは12試合で10得点と量産体制に入り、最終節を前にリーグ得点王も視野に捉えています。年間17得点はなんと今世紀のセルクル・ブルージュ史上最多! ”新記録”を樹立して注目が集まる上田選手の現地での評価を探ってみました。
目次
- 1. 偉業を成し遂げた一戦
- 1.1. マン・オブ・ザ・マッチに選出
- 2. 現地メディアがこぞって称賛
- 2.1. ジュピラーリーグの得点ランキング
- 3. 移籍当初は順応に苦しんだが
- 4. ステップアップの噂も
偉業を成し遂げた一戦
上田選手が偉業を達成した試合は、4月15日(現地時間)に行われたレギュラーシーズン第33節のシント=トロイデンVV戦。シント=トロイデンVVではGKシュミット・ダニエル選手、DF橋岡大樹選手、FW岡崎慎司選手、FW原大智選手、FW林大地選手も出場し、日本人対決となりました。
この試合で先発出場した上田選手は、0-0で迎えた41分に、PKをゴール右に豪快に決めて先制点を奪取! さらに前半アディショナルタイムの45+2分には、敵陣で縦パスを受けるとペナルティボックスまで持ち運び、相手GKシュミット選手を脇下から冷静にゴールを射抜いて2点目を奪います! その後は84分にアシストも記録して3-1の勝利に大きく貢献しました。
マン・オブ・ザ・マッチに選出
2得点・1アシストの活躍で、チームのプレーオフ2進出に望みをつないだ上田選手は、ジュピラーリーグの公式サイトでこの試合のマン・オブ・ザ・マッチに選出!
そしてリーグ年間17得点は、イケ・ウグボ(現トロワ)が2020-21シーズンに記録した16点を超えるセルクル・ブルージュの21世紀最多記録である他、シント=トロイデンVVに在籍したFW鈴木優磨選手(現・鹿島アントラーズ)に並ぶベルギーリーグ日本人最多記録でもあります。
現地メディアがこぞって称賛
大きなインパクトを放った上田選手にはベルギー国内でも多くの称賛の声が集まり、現地メディアの多くも好意的に報じています。『Het Laatste Nieuws(HLN)』紙は「ウエダがシント=トロイデンを打ち破る。2ゴール・1アシストを記録。“究極のスター”となった」と大絶賛。
また日刊紙『Het Nieuwsblad』も「彼ほど効率的にゴールを奪うストライカーはほとんどいない。2年前のイケ・ウグボのように、今はウエダが別格だ」と激賞。その記事内では、セルクル・ブルージュのアシスタントコーチであるジミー・デュール氏が「アヤセはストライカーとしての完成度が高く、ジャンプ力や緩急も平均以上。背が高くて強いディフェンダーに対してでも、小柄な体格を活かして立ち回れる」と高く評価していることも明かしています。
ジュピラーリーグの得点ランキング
シント=トロイデンVV戦の2ゴールで得点ランキングの3位に浮上した上田選手は、19得点で1位のウーゴ・カイパース(ヘント)と、18得点で2位のジャンニ・ブルーノ(シント=トロイデンVV)に迫っています。
33節時点でのジュピラーリーグの得点ランキングトップ5は以下のとおり。
1位/19得点
ウーゴ・カイパース(ヘント) 32試合出場
2位/18得点
ジャンニ・ブルーノ(シント=トロイデンVV) 29試合出場
3位/17得点
上田綺世(セルクル・ブルージュ) 33試合出場
4位/16得点
ポール・オヌアチュ(ゲンク) 19試合出場
ヴィンセント・ヤンセン(アントワープ) 29試合出場
残り1試合で順位をひっくり返すのは簡単ではありませんが、今の勢いであればベルギーリーグ初の日本人得点王になる可能性も低くはないでしょう!
移籍当初は順応に苦しんだが
いまや称賛の的となっている上田選手ですが、移籍当初は慣れない環境に苦しみました。ベルギーリーグはJリーグよりもフィジカルが重視されるため、そのスタイルに慣れる時間が必要だったと本人は振り返っています。また感情をあまり表に出さない性格のため、チームメイトとのコミュニケーションでも苦労したようで、溶け込むのにも時間がかかったのでしょう。
それでも徐々に適応すると昨年10月にレギュラーに定着。11月末から開催されたカタール・ワールドカップで45分しか出場できなかった悔しさも発奮材料にして、その後はさらに得点ペースを加速させています。今もチーム内では大人しいようですが、ゴール後の笑顔を見る限り、充実した日々を過ごしていそうですね。
ステップアップの噂も
海外挑戦1年目で大活躍を見せる上田選手には、当然他クラブも視線を送っているでしょう。現行の契約は2026年7月まで契約は残っていますが、セルクル・ブルージュも移籍には肯定的だとか。『HLN』紙ではミロン・ムスリッチ監督が「彼はゴールを連発していて、ここには留まれないかもしれない。喜んでいるのは誰かって? スポーツディレクターだよ。彼はすでにお金を計算し始めている」と移籍の可能性を示唆していることを報じています。
一部では、セルクル・ブルージュと同じくドミトリー・リボロフレフ氏がオーナーを務めるフランスの強豪モナコへの移籍の噂も……。モナコには日本代表FW南野拓実選手が所属しており、上田選手が移籍すれば日本人選手の競演もあり得ます。上田選手は今後どんな道を辿るのでしょう。進境著しいストライカーの動向から目が離せませんね。
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