相撲で勝負が決まってから、行事が勝った方の力士に何かを与えていますが、あれは大相撲の幕内の取組に懸けられる懸賞金です。
横綱、大関や人気力士が片手で持てないくらいの懸賞金の袋を受け取って帰っていくシーンを大相撲中継でよく見かけることかと思います。
では、その仕組みはどのようになっているのかを詳しく見ていきましょう!
目次
- 1. もらうときの動きに意味はあるの?
- 2. 大相撲で力士が受け取る懸賞金の金額とは
- 2.1. 全額もらえるわけではない懸賞金
- 2.2. 懸賞金の残りはどこへ
- 3. 熱戦の取組前に土俵を一回りする懸賞旗
- 3.1. 懸賞旗ってどうなっているの?
- 3.2. 懸賞をかけるとこんなことも
- 4. 年間の懸賞金の最多は誰なのか
- 5. まとめ
もらうときの動きに意味はあるの?
勝った力士は、行司に名前を呼び上げられた後、行司が手にした軍配に載せられた懸賞金をもらうことになりますが、その前に何かしていますよね。
受け取るしぐさについては、「手刀(てがたな)を切る」と言われる行為です。
儀式用の作法であり、左、右、中の順序で切ります。
昭和41年に「懸賞は手刀を切って受け取ること」と、日本相撲協会が通達を出しました。礼儀を重んじる国技ですので所作はとっても大切ですよね。
この所作の左が神産巣日神(かみむすびのかみ)、右が高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、中が天御中主神(あまのなかぬしのかみ)を指し、国土・人間・万物を創造した五穀の守り神たちに感謝している動作とされます。
所作にもきちんとした意味があるんですね。
大相撲で力士が受け取る懸賞金の金額とは
懸賞金の金額は1本70,000円
この金額は、日本相撲協会で正式に決まっているようです。
当然ですが、勝った力士しかもらえません…
懸賞の申込み本数は、1日1本以上、1場所15本以上から申し込みができることとなっています。
一口が7,0000円(税込み)で、一場所が15日間開催されるので
70,000円×15日間で105,000円(税込み)ってことなるとなかなかな金額になりますよね。
全額もらえるわけではない懸賞金
しかし、懸賞金のすべてを力士が受け取るわけではないというのが現実。
まず70,000円から、10,000円が日本相撲協会の事務手数料という名目で引かれていきます。
残った60,000円が力士の収入となるわけです。
あの懸賞金ののし袋に60,000円が入っているかというとそういうわけではない!
実は、勝利した力士が土俵で受け取る懸賞金ののし袋に入ってる金額は30,000円です。
1袋に入っている額は、30,000円ということになります。
懸賞金の残りはどこへ
残りの30,000円は、相撲協会が預かり、力士本人名義の積み立て金として管理し、納税充当金として使用します。
そして、余った分については引退時に退職金と併せて支給されることとりますので、
たくさん懸賞金をもらった人はさらにボーナスがもらえるみたいになりますね。
このようになった背景としては、勝利に酔った力士が懸賞金をすべて使ってしまい、後から税金を払えないといったことを避けるためです。
協会もきちんと考えてくれていますね。
熱戦の取組前に土俵を一回りする懸賞旗
では懸賞金はいったいいくらもらえるのか?
それは、取組前に回っている懸賞旗の数です。
たくさんまわっているほど買った時の懸賞金額が増えていくというわけですね。
1つの取組での最高本数は61本!!
(平成29年3月場所より1つの取組につき最大で60本の懸賞)
この60本という数ですが、仕切り制限時間(幕内は4分)の都合上、呼出が土俵上を懸賞旗を持って回るのに20本×3周の60本が限界のようです。
それ以上の懸賞申し込みがあった場合には減らして調整します。
懸賞旗ってどうなっているの?
幕内の取組前に土俵を一回りするのが、懸賞を懸けた企業や商品名が書かれた懸賞旗。
懸賞旗は、懸賞を出す人が作らないといけません。
旗の大きさは横が70センチ、縦が120センチと決まっていて、旗の上の部分には木の棒をつけて、下の部分には金色のモールをつけるなど細かい点まで決まりがあります。
デザインなどにも一定の制限があるようなので作ってみようという方は、協会へ問い合わせてみてください。
完成したものを相撲協会へもっていって懸賞をかけるというようになるので、制作料プラス懸賞金となるということになりますね。
懸賞をかけるとこんなことも
懸賞旗が呼出しの手で土俵を回るときに、実は会場には企業や商品の名前がアナウンスされているんですよ。
さらに入場者全員に配られるその日の取組表にもアナウンスされるキャッチフレーズが掲載されています。
このアナウンス料は、あの懸賞金の手数料10,000円に含まれていますのでここでのプラスはないのでご安心を!
アナウンスの原稿は、懸ける企業が15字以内で作って提出します。
例えば、
「イエス!イエス!高須クリニック」15文字
「ハッピーライフタマフォーム」13文字
「相撲を見た帰りは火鍋だ小肥羊」14文字など
ひとつのアナウンスだけが長くならないように長さには決まりがあるんですね。
ただ、懸賞金は個人でもかけられるので、個人の宣伝に使うのもOKなんです。
年間の懸賞金の最多は誰なのか
これまでの年間の懸賞獲得本数で見ると、
1位 平成22(2010)年の白鵬 2111本
2位 平成24(2012)年の白鵬 1990本
3位 平成26(2014)年の白鵬 1932本
4位 平成27(2015)年の白鵬 1728本
5位 平成21(2009)年の白鵬 1613本
7位 平成17(2005)年の朝青龍 1525本
あとはすべて白鵬でした。
優勝45回、通算勝星1187勝の史上1位の大記録を達成した白鵬だからの記録でしょうか。平成22年に白鵬が実際に手にした懸賞金の総額は1本3万円の手取りで計算してみますと6330万円という金額になります。
勝利数、人気ともに白鵬は大横綱だったことがうかがえますね。
まとめ
大相撲の取組で勝利した力士が受け取る懸賞金について紹介させていただきました。
懸賞の際のアナウンスは、残念ながら、公共放送であるNHKのテレビ中継やラジオ放送ではボリュームが絞られて別の音声が被さりよく聞こえませんので、聞きたい方はぜひとも取り組み会場へ行ってみてください。
また、懸賞の本数を見れば力士や取組がどれだけ人気があるかわかるので、大相撲を見るときに注目してみてはいかがでしょうか。
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