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「iPhoneの値段は割高」はまちがい。Appleの利益率を分析してわかった本当の〝お得度〟

Apple製品は一般的に、高級な電化製品として知られています。実際、Appleは年間3650億ドル(約49兆円)の売り上げがあり、1118億5000万ドル(約15兆円)という世界第3位の利益を出しています。

しかし、Apple製品の利益率は、実はテック企業と比べると決して高くはありません。その理由について、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered 」が解説しています。



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*Category:テクノロジー Technology *Source:Logically Answered,Apple

iPhoneの「利益率」を徹底分析


Googleの利益率は30%、Nvidiaは32%、Facebookは36%、マイクロソフトは38.5%となっています。一方、Appleの利益率は過去10年のほとんどで20%強で推移しています。

なぜ、Appleの利益率は低いのでしょうか?Appleが他のテック企業ほどの高い利益を持っていない理由は、彼らがハードウェアビジネスを主軸とする唯一の企業だからです。物理的な製品の発売では、設計から出荷までに非常にお金がかかります。

では、AppleはiPhoneやMacbookで一体いくら儲けているのでしょうか?

【1】iPhoneの売上原価


四半期報告書を見てみると、Appleは650億ドル(約8.8兆円)の売上高を記録していることがわかります。その内訳は、iPhoneが389億ドル(約5.3兆円)、Macが92億ドル(約1.2兆円)、iPadが83億ドル(約1.1兆円)、そしてアクセサリーやその他のデバイスが88億ドル(約1.2兆円)となっています。

iPhoneの売上はAppleの製品売上全体の約60%を占めています。そんなiPhoneの売上原価は427.9億ドル(約5.8兆円)で、製品収入の65.7%に該当します。iPhone一台当たりの換算では、526ドル(約7.1万円)になります。

【2】研究開発費


Appleの研究開発費は57億7200万ドル(約8千億円)です。Appleの研究開発の大部分は、製品の設計や、iOS、Face ID、Touch IDなど、製品に直結するソフトウェアの設計に費やされています。そして、研究開発費の75%である43億2900万ドル(約6千億円)が製品の開発に利用されています。この開発費は製品売上の6.6%に該当し、iPhone一台当たりの換算では53ドル(約7,200円)に相当します。

【3】販売費および一般管理費


ここには、マーケティング、店舗運営費、特許、ライセンス、その他基本的にAppleの経営に関わるものすべてが含まれます。Appleの一般管理費は56億1,600万ドル(約7.6千億円)です。製品とサービスの割合が75対25とすると、1四半期あたり発生する管理費は42億1200万ドル(約5.7千億円)となります。これは製品売上の6.5%に相当し、iPhone一台当たりの換算では52ドル(約7,100円)になります。

【4】法人税


Appleは26億9700万ドル(約3,6千億円)を法人税として支払っています。この内、製品関連の利益で発生する税金は6億7400万ドル(約920億円)といわれています。iPhone一台当たりの換算では約8ドル(約1,000円)です。

iPhoneの利益率は10%にもならない


これらの経費を全て合算すると、iPhone一台当たりに639ドル(約87,000円)がかかっていることになります。つまり、iPhoneを売ったところで、そこまで大きな利益にはならないということです。もし、iPhoneを700ドル(約95,000円)などで販売すると利益率は10%にもなりません。

当然、iPhoneのProシリーズの大容量モデルなどであれば、利益率が30~40%あるはずですが、その様な上位モデルを購入するユーザーは一握りしかいません。

ちなみに、iPhoneと同等能力があるGoogleのPixelがiPhoneよりも安価で販売できている理由は、AppleとGoogleのビジネスモデルに違いがあるからです。GoogleはPixelをほぼ「利益ゼロ」で販売しているといわれています。

なぜ、Googleがその様な販売ができるかというと、Googleには他の収入減があるからです。Googleの利益の大部分は「Google.com」の広告料です。彼らのスマートフォンの第一の目標は「Google.com」を利用してもらうことなのです。つまり、Googleはスマートフォンを利益ゼロでばら撒き「Google.com」を利用させ、後から収益を回収しようとしているということです。

Appleも後から収益を回収する方法をもっていますが、Googleと違い、ユーザーが自ら課金をしなければなりません。iPhoneを買ったからといってApple MusicやiCloudの購入を強制されることはありませんし、アプリストアから必ずアプリを購入する必要もありません。Googleのように後から利益を回収することが難しいため、Appleは製品を販売した際にしっかり利益を確保する必要があるのです。


Appleは製品を値上げし過ぎだと批判されることがよくありますが、大半の製品に過剰な価格はつけていません。Appleのビジネスを実行するためにはより多くのコストがかかってしまうのです。

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