ロシアはウクライナに侵攻したことによって、多くの国から制裁措置を受けています。そのためロシアは今までのようにエネルギー資源を供給できていません。
しかし今、ロシアは制裁を受けているにもかかわらずサウジアラビアを抜いて最大の供給国になっています。そこには「シャドーフリート(影の船団)」が大きく関係しています。この船団について海外YouTubeチャンネル「Bloomberg Originals」が解説しています。
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制裁を受けているロシアは、どのようにして石油を売っているのか?
ヨーロッパは何十年もの間、ロシアのガスや石油に頼って経済を維持してきました。しかし、ロシアがウクライナに侵攻したことによって、ヨーロッパはロシアに対して制裁措置を行いました。
制裁措置を行うことによって、ロシアの財政は厳しくなります。実際、ロシアの財政赤字は、今年最初の4カ月間で、2023年通年で想定されていた赤字額よりも大きくなりました。少なくとも年初の半年間は制裁措置が意図した通りに機能したということです。
しかし、ロシアは制裁を回避して収益を上げる方法を見い出しました。エネルギーアナリストのオサマ・リズヴィ氏は「ロシアからの石油輸出がここ3ヶ月で毎月3〜5%減少したにもかかわらず、国の石油収入は依然として増加しています」と述べています。ロシアはどのようにして収益を増やしているのでしょうか?
ロシアの海運会社は古いタンカーを買い占め、船団を作りました。この船団をシャドーフリートと呼びます。
シャドーフリートの目的はロシアの石油を海外に輸送することです。シャドーフリートは自国の港から石油を調達し、ギリシャ南部の湾に運び、そこから他のタンカーに積み替え、中国、インド、トルコなどに運んでいます。
中国の石油精製業者は、できる限り多くの石油を輸入しており、現在、平均で約25%増加しています。また、インドの増加量はさらに大きいといわれています。インドはロシアの原油をインドの製油所に送り、ガソリンに変えています。今のルールではガソリンになった時点でそれはロシア産ではなくなります。インドはその燃料の多くをヨーロッパに輸出しています。
オサマ・リズヴィ氏は「トルコとインドがロシアの石油を大量に輸入しており、そのほとんどが石油製品としてヨーロッパに戻っている」と指摘しています。
さらに、現在の制裁ではロシア産ウラル原油の1バレルの価格上限は約8,500円と設定されていますが、ロシアの公式統計によると10月の平均受入価格は1バレル約1.1万円超えという高額で取引されているようです。つまりシャドーフリートや資源を購入する国が存在する限り、ヨーロッパなどが制裁措置を行っても、ロシアはエネルギー資源を高額で売り続けることができるということです。
ロシアに利益をもたらすシャドーフリートを規制することは困難です。なぜなら、この方法は欧米のルールに従うビジネスではないからです。
効果的な制裁を実施する唯一の方法は、現在の買い手が制裁を遵守することに同意することです。しかし、ロシアは非常に大きな石油生産国であり、非常に大きな輸出国であり、多くの国がその石油を必要としているため全ての国に制裁を遵守させることは困難でしょう。
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